Transfer Hydration of Dinitriles to Dicarboxamides

Asuka Naraoka and *Hiroshi Naka
Synlett 30, 1977–1980 (2019). (DOI: 10.1055/s-0039-1690026)

(Invited Cluster 'Metathesis beyond Olefins') [PDF]

 

 ジニトリルからジカルボン酸アミドを選択的に与える合成手法の確立は,有機合成化学における長年の課題でした.今回私たちは,アミドを水供与体として用いる水移動型水和反応を減圧条件下で行うことで,ジニトリルからジカルボン酸アミドを高選択的に与える形式的な触媒的水和法を開発することに成功しました.

 開発した水移動型水和反応では,これまでの一般的な水和触媒反応で課題となっていた一水和や環化、加水分解などの副反応を伴うことなくジアミドを選択的に合成できます.成功の鍵は減圧下で共生成物のアセトニトリルと酢酸溶媒を留去することで,可逆なパラジウム触媒反応を生成系に傾けつつ濃縮によって反応を促進したことにあります.今回の手法で初めて,従来法では水和が困難な 1,2-ジニトリル (スクシノニトリルやマロノニトリル,フタロニトリルなど)、1,3-ジニトリル (グルタロニトリルなど) を含む様々なジニトリルの一般的な水和方法を確立できました.

 

The Noyori Laboratory

名古屋大学 大学院理学研究科 野依特別研究室

名古屋大学 物質科学国際研究センター 分子触媒研究分野