Catalytic Transfer Hydration of Cyanohydrins to α-Hydroxyamides

Tomoya Kanda, Asuka Naraoka, and *Hiroshi Naka
J. Am. Chem. Soc. 141, 825−830 (2019). (DOI: 10.1021/jacs.8b12877)
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(Tomoya highlighted at Chem-Station)

(Highlighted in OPR&D)

シアノヒドリン(アルファ-ヒドロキシニトリル)の水和反応は研究現場や化学工業における最も重要な反応の一つです.特にケトン由来のシアノヒドリンはケトンと青酸(HCN)へと分解しやすいため,この副反応が起こらない温和な条件で素早く進行する水和触媒反応の開発が望まれていました.今回私たちは,カルボン酸アミドを水の代わりとして用いる「水移動型水和反応」という新しい型の水和法を考案することで,温和な条件で素早く完結するシアノヒドリンの水和方法を開発しました.本法を用いれば,アルデヒドおよびケトン由来の広範なシアノヒドリンを,パラジウム触媒とアミドを酢酸溶媒中,50 °C, 10分混ぜるだけで対応するアミドへと導くことができました.また,18O同位体標識実験や速度論実験によってこの反応の機構も提案しています.本論文は,水分子と有機物質を結びつける反応を開発するための新しい考え方を示した論文と位置付けることができます.

 

The Noyori Laboratory

名古屋大学 大学院理学研究科 野依特別研究室

名古屋大学 物質科学国際研究センター 分子触媒研究分野